2009年6月21日日曜日

読書に必要なのは、もしかしたら健康な身体

医大で定期的な検査のため採血をされたあと、
いつも通りに昼ご飯を食べ、
自転車をこいでバイト先に向かっていたら、
珍しく具合が悪くなった。

うっかりしていたが、そういや採血されてから
変な湿度の気候のなか、
勢いよく自転車漕いで仕事場に向かい、
ヘヴィな業務量をこなせるほど、
自分の体力を過信するべきではなかった。

(その前の週は、週のうち4日芝居の観劇が続いたり、
(八時の芝居小屋100回記念公演と「乱暴と待機」)
今週は市による父の介護認定調査や、
盛劇に出向いて感劇地図のゲラ校正などもあったりして、
知らず知らず疲労も蓄積していたに違いない)

そんなわけで、バイト先に着いてから、
その日のバイトを休ませてもらい(←迷惑な奴)、
家でごろごろしてゆっくり身体を労わった。
土日は本来の休みの日。

こういう、降ってわいたような時間が出来ると、
やっとアレに手をつけられる。


村上春樹の新刊「1Q84」である。


発売日当日だったか次の日だったかに買ったものの、
集中して一気に読んでしまいたい私は、
なかなかその機会が掴めないでいたのである。

私が村上春樹の新刊を「積ん読」しとくなんて・・・

あぁ、若くないってこういうことね。
先週の「違う芝居を4本立て続けに観る」というのも、
芝居のクオリティとかそういうこととは全然関係なしに、
私にとってはかなり体力のいることになっていた。
そして最近は、常に自分の感性が衰えていないかと
意識的に対峙してばかりような気がする。


話は変わるが、最初の心臓の手術を受ける前、
友人に、買ってきてもらうのを頼んでいた村上春樹の
小説が本屋になかったからと、代わりに友人は、
同じく村上春樹の別の長編小説
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
を買ってきてくれた。

その頃まだ読んでいなかったのでまあいいかと、
読み進めようとするのだが、
まったく内容が頭に入ってこない。
時間は(手術前までは)一日中たっぷりある。
にもかかわらず、ページが遅々として進まない。
入院中は、とにかくわけのわからない小説であった。

そして結局、上巻の半分も読み進められず、
しおりを挟んで、次の日の手術を迎えるときに、

「もしかしたら私は、この小説の続きを
読めないまま人生が終わるのかもしれない
可能性もあるのだ」

という事を、漠然と考えていた。

その後、無事手術は成功し、
退院して元気になってから改めてゆっくりと小説を読んだ。
そして、その内容に深く心を揺さぶられた。
なぜ、この内容が全く頭に入ってこなかった
のだろうというほどにのめりこんで読んだ。

そんな事を今回、この小説を読みながら思い出した。

無意識に息をつめて本を読んでいて、
気がつけば途中何回も深呼吸をするほどの小説を、
またこうして味わえているということ。

そして、まだ私にも、小説から深い感動が
得られるだけの感性(=身体)が残っていること。
それは本当にありがたいことなのだということを。

でも、やっぱり相当のエネルギーが必要。
普通の精神状態に戻ってくるのに、
けっこう努力が要ったのは相変わらずだった。

2009年6月19日金曜日

ツッコミ下手

医大循環器科定期外来。

・・・・・と、今まで書いておりましたが、
ワタクシ、嘘をついておりました。
今日、よくよく領収書を見てみたら、


「心腎内科」


と書いてあるではないですか!?
聞いてないよ!?
正式名称は、

「心血管・腎・内分泌内科」

だということで、A孫子先生は、
病院の玄関脇の一覧では、
「循環器内科」の医師ではなく、
「心血管・腎・内分泌内科」の保険医として掲載が。

でも、昔の主治医の先生は、
「循環器内科」の保険医に掲載されてるんですよ。
で、外来の担当も場所も同じなんですよ。

え、ナニ? ナニがどう違うの???

昔は第二内科、略して「二内」と書かれてました。
それが今や、


しんけっかん・じん・ないぶんぴつないか


ですよ?
なんか、別の病気になったような気がしませんか?
A孫子先生に身売りされたような気がしませんか!
分泌物がどうにかなってそうじゃないですか!

にきびとか!(←若ぶってみる)

と、会計から何から済ませた後で気づいたので、
この心の叫びを
どこに向ければいいかわからなかったので、
試しに、ここに書いてみました。
(おそらく新年度から変わっていたようだ。今頃気づくな)


ということで、心腎内科定期外来。
(なんか馴染めないなー、この名称)


さわの 「今日の(血液検査結果の)数値は普通ですか?」
A孫子 「(パソコンを凝視して)・・・普通じゃないよ・・・」
さわの 「えっ・・・・・(動揺)」
A孫子 「「普通」じゃなくて、「すごくいい」数値!」
さわの 「は。」


イッツ・ドクタージョーク!


しまった。
うっかりスルーしてきてしまった。
関西人の血が一滴も流れていない、
ツッコミ下手な私を許して。

この場合、
「そうですか、すごくいいんですか・・・って、いいんかい!」
というノリツッコミをするのが
吉本芸人的基礎反応だろうか。
と、真面目に考察する東北人。

そんなドクタージョークが飛んでた今日は、
A孫子先生にてくりを贈呈してきた。

さわの 「あ、T代先生とF崎先生には
      『自分で買ってね♪』って言っといて下さい」

主治医を外れたとたん、さっさと恩を忘れる薄情・さわの。
ていうか、それは贈呈ではなく、
「サンプル無料提供」というのでは。

てくりの高橋さん的には、
ぜひともA孫子先生に「ウコギのほろほろ」のページを
熟読していただきたいとの事です。

そんな高橋さんの熱い思いを知ってか知らずか、
てくりをパラパラとめくっていた先生の第一声は、


A孫子 「あ、カメラのキクヤ・・・」


なぜそんな、源蔵さんのプロフィールに載ってる、
ちっちゃい文字に一番反応するのか!
(ちなみに源蔵さんのお店、カメラのキクヤは
医大の裏手にある)
大々的に特集している「ベル」はいいのか、
「キッチンたくま」は驚かないのか。

つーか、自分の患者の「いずみさん」が
一体ナニモノなんだこいつはという疑問はないのか。

こちらもうっかりツッコミし忘れてきてしまった。
東北人であるというのは、時として不便だ。

2009年6月3日水曜日

見合い写真か遺影に

ミニコミ誌 てくりさんから、
掲載本誌と、撮影していただいた写真を
いただけるという連絡をいただき、
てくりの高橋さんと六分儀で会ってお茶を飲む。

もらってびっくり、その数10枚(そして、でかい!)!

本誌に掲載されなかった写真もたくさん戴いた。
撮影してくださった奥山さん、ありがとうございました。
今後、お見合い写真か遺影に使わせていただきます。

ちなみに、これまでにプロデュースした芝居では、
「卯の卵」の宣伝写真には、rakraなどで活躍されている
カメラマンのおおたにひろきさんに撮影していただいたり、

舞台写真と稽古風景を、
岩手大学写真部の精鋭達や、
フォト&カフェ SoLUNAを経営する
カメラマンの澤村明彦さんに
撮影していただいたりしているばかりでなく、
何気にこっそり写りこんでいたりした
私の写真もそれぞれ戴いてるので、
被写体としての要求クオリティが無駄に高い。


あとはアラーキーと篠山紀信を残すのみである。

あ、それから源蔵さん(岩手県写真連盟名誉会長)。


そんな私にとって、奥山淳志さんといえば、
もう本当にぜひ一度お会いしたかった
カメラマンなのであった。
(ちなみに、岩手県美で公演したときの
宣伝写真を撮っていただいたのも奥山さんである。
この時は直接お会いする機会が無かった)

てくりさんでの写真ばかりでなく、
rakra、銀花をはじめとして、
全国的な写真誌でも活躍されていて、
写真と共に執筆されている
硬質で透きとおるような文章も素敵だ。
そんな夢膨らむイメージいっぱいの私の前には、


毒舌炸裂の関西弁のおにいちゃんが。
(たしか私と同い年)


奥山さん、
「雑誌に書いてる写真と文章のイメージと全然違う!」
と、指を差して非難してごめんなさい。

もし、次にお会いする機会があればその時には、
「さわのさんといえば、ネットカフェでブログ書いてる人」
というイメージだけでない私を
お見せいたしたいと思う所存です。

2009年6月1日月曜日

ケータリングは塩と水

昨年12月に、盛岡の制作協力をさせていただいた、
東京の劇団、燐光群制作の古元さんが、
仕事を兼ねて来盛中である。

昨日は劇団赤い風の舞台「鼠小僧次郎吉」を見たあと、
盛岡劇場で稽古中のTCTや劇団ゼミナールに挨拶、
劇団赤い風の公演打ち上げに参加という、
劇団制作のプロフェッショナル的な
盛岡滞在を満喫(したらしい)。

今日はせっかくなので、一緒にご飯食べましょうと、
劇団ゼミナールの睦さん、
劇団香港活劇姉妹のあやぞうさん、
いわてアートサポートセンターのいなべ君
(↑ てくり的には編みぐるみ作家)、
市文化振興事業団のN沼さんと、
私の6人で桜山のMASSで夜に飲み会。

カシワギさんが来られなかったのが
とても残念だったが、
図らずも燐光群の昨年12月の盛岡公演の、
制作打ち上げもできてよかった。

(結局、燐光群盛岡公演後に、
盛岡の制作協力隊で集まっての
打ち上げの機会が今日まで
もてなかったのである)

演劇関係者で飲み会といっても、
盛岡で演劇制作者同士が集まって
飲んで語らう機会というのは、
そうそうあるものでもない。

ふだんの演劇関係の飲み会では
あまり聞くことのない、
ちらしに掲載する情報量とデザインについてや、
チケットの販売方法、宣伝戦略などが、
ディープに熱く語られるという展開に。

後半はたぶん、普通の役者さんたちでは、
ついていけない話題の数々であった。
(いわんや一般人をや)。
でも、他の制作スタッフがどんな事をしているのか
というのは興味深いしとても面白い。


さわの  「こないだの八芝(「ホテル寿」)、
       すごい人入ったよねぇ。
       あれは何? 盛岡市民演劇賞受賞効果?」
あやぞう 「いやぁ、どうなんでしょうねぇ。
       あ。今回、「チケットが一枚も売れなかった人は、
       ケータリングは“塩と水”」という事にしたんです」


ケータリング代として2000~3000円払ってて、
公演中ずっと食事が塩と水だったら、


泣くね。


あやぞう 「さすがに0枚の人はいませんでしたけど。
       まさかそんな、私がほんとに塩と水
       出すわけないじゃないですか~」


いやぁ、ほんとにやったら面白そうだけどね。
ていうか、やりかねないけどね!


さわの  「(気の利く)あやぞうさんの事だから、
      高級岩塩とボルヴィックとか」
あやぞう 「まさか。食塩と水道水ですよ」


ちなみに、0枚が「塩と水」、
で、チケットの手売り枚数が増える毎に徐々に
「パンだけ」「パンにジャム付き」「カレーパン」
などと、ランクが上がっていき、
一番売った人は「鮨にケーキ付き」となるらしい。

私個人の制作の主義としては、
公演関係者にチケットの手売りの強制をさせる
というのはしてなくて、手売りをするにしても
どう、公演関係者が自発的にチケットを
売りたくなるような芝居作りをしていくかと、
なるべく手売りに負担をかけないような、
効果的な宣伝は何か?

という方向性で考えていこうとするので、
こういう発想は無いのだが、
手法としては、アリだと思う。

だって、参加者が面白そうだもんね。

いやぁ、いろんな事を考える人がいますね。
果たして古元さんは、この飲み会で、
何か影響された事はあったであろうか。

燐光群主宰の坂手さんが、公演中ずっと
「ジャム付きコッペパン」
を、古元さんに食べさせられる姿。
を想像してみるのも、
なかなか趣き深いものがある(←そうか?)。